研究課題/領域番号 |
15K07802
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
昆虫科学
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 (2016) 国立研究開発法人農業生物資源研究所 (2015) |
研究代表者 |
高須 陽子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門 新産業開拓研究領域, 上級研究員 (00414912)
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研究分担者 |
飯塚 哲也 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門 新産業開拓研究領域, 上級研究員 (80414879)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2016年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2017年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2016年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2015年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | カイコ / セリシン / 条件付き遺伝子ノックアウト / TALEN |
研究実績の概要 |
カイコの中部絹糸腺を有用タンパク質生産を行う器官として最適化するため、内在性のセリシンタンパク質の発現を外部からコントロールできるカイコ系統の作出を目的としている。2年目は、初年度にクローニングを行ったヒートショックプロモーターに制御されるTALEN遺伝子をカイコゲノムへ導入し、体色マーカー遺伝子の破壊を誘導するための条件検討を行うとともに、本来の目的であるSer1遺伝子を破壊するTALENをカイコに導入するためのベクターを調製した。 幼虫の体色を制御するBmBLOS2遺伝子をターゲットとする1対のTALEN遺伝子をそれぞれ異なる蛍光マーカー遺伝子GFPおよびDsRed遺伝子を持つpiggyBacベクターに組み込み、各3系統以上の組換えカイコを作出した。これらを休眠系統と交配し、保存するとともに、異なるTALENを持つ系統同士を交配し、11蛾区の受精卵を採取した。これら11種類の受精卵について、孵化のおよそ3日前(点青期)に42℃に2時間置くことによりTALEN遺伝子の発現を誘導した。5齢期に幼虫体色を観察したところ、油蚕形質の発現は認められなかった。 次に、ヒートショックによる発現誘導の時期を産卵翌日とし、6蛾区について同様の試験を行ったところ、すべての蛾区でモザイク状の油蚕形質が確認された。TALEN遺伝子を片方のみ持つか全く持たない個体については、すべて野生型の形質であった。モザイクの程度は系統および個体によって異なり、遺伝子の挿入部位によってTALEN発現の強さが異なることが示唆された。 体色マーカー遺伝子により条件付きの遺伝子のノックアウトが確認されたため、初年度に最も効率よくSer1遺伝子を破壊することが確認されたTALEN遺伝子を組み込んだpiggyBacベクターを作製し、カイコ受精卵に注入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Ser1遺伝子を破壊するTALEN遺伝子をカイコゲノムに導入するためのpiggyBacベクターは、制限酵素とDNAリガーゼを用いる通常のクローニング方法により調製することができなかった。高度の反復配列を含む比較的大きなプラスミドベクターであったため、大腸菌内で構造が不安定であるためと考えられた。 これを解決するため、1)プラスミドベクターから不必要な配列を除去し、2)TALEN遺伝子の反復配列はクローニングの最終段階でGolden gate法により組み込むよう改善を行った。正確性の高いPCRとIn-Fusion酵素を用いたクローニング法を利用して、piggyBac転移酵素の認識配列とマーカー遺伝子を組み込んだTALEN遺伝子調製用のベクターを作製した。このベクターに塩基認識部位である繰り返し配列をGolden gate法により組み込み、TALEN遺伝子導入用のpiggyBacベクターの作製が確実に行えるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
Ser1遺伝子を破壊するTALEN遺伝子を組み込んだカイコ系統を作製し、受精卵のヒートショック処理によりどの程度のSer1遺伝子が破壊されるか測定する。また、それによるSer1タンパク質の減少の程度を測定する。さらに、ヒートショック処理を行わない場合、吐糸および継代に影響がないことを確認する。 当初の計画にあった中部絹糸腺における外来遺伝子の発現量の向上についても実験準備を進めるが、これまでの進捗の遅れのため、計画期間中の達成は困難と考えられる。そのため、Ser1タンパク質の減少を確認する段階で成果を一旦とりまとめ、残された部分については、研究期間終了後に他の研究資金により研究を継続する。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、課題の進捗に合わせて随時必要な試薬等を購入する。
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