研究課題
基盤研究(C)
Hippo pathwayの主要因子であるSAV1遺伝子が淡明細胞性腎癌の悪性化に関わることをin vivoで解析するため、腎尿細管のみでSAV1単独あるいはVHL遺伝子とともに欠失するノックアウトマウスを作成した。SAV1両アレル欠失(ホモ)マウスでは腎嚢胞の形成と、尿細管上皮細胞の細胞数の増加・重層化・核の大型化が認められた。SAV1に加えてVHLも欠失すると、出生数は少なかったがSAV1欠失マウスで見られた嚢胞壁の異型は改善する傾向にあった。以上より、SAV1遺伝子は腎臓の尿細管上皮の核の大きさを制御し、腎構造の維持に重要な生理機能を果たしていることが示唆された。
腎癌の動物モデルとして、本研究では腎尿細管に特異的なSAV1欠失により、細胞異型や細胞増殖、腎発生の異常が認められた。つまり、腫瘍抑制に働くHippoパスウェイが、VHL-HIF1パスウェイ以外でも腎の発生や癌化に関わることを初めて明らかにした。また、Hippoパスウェイがin vivoでどのように他のパスウェイと関係するかをパスウェイ解析やVHLとのダブルノックアウトマウスによって明らかにした。したがって、新たな腎発生や癌化のメカニズムの発見だけでなく、既存の分子標的治療薬がターゲットとしているVHL-HIF1パスウェイでは根治し得ない高悪性度腎癌の治療開発の礎となった。
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