研究課題
基盤研究(C)
びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(Diffuse large B-cell lymphoma; DLBCL)は胚中心B細胞型(Germinal center B-cell type; GCB type), 活性型B細胞型(Activated B-cell type; ABC type)に大別され、その腫瘍起源を反映していると考えられている。GCB typeはABC typeに比べてCHOP療法下で予後が良い。現在の標準治療であるリツキシマブ(R)併用CHOP療法下では主にABC typeの予後が改善されてきた。一方、GCB typeではR導入後もその予後の改善はみられていない。その結果、両者の予後に差が見出されなくなってきている。R療法導入により予後が改善したとはいえ、依然3割程度の症例が治療抵抗性であり、新たな治療法開発が必要と考えられる。LR11はLDLレセプターとして同定されたI型膜貫通分子であるが、DLBCLにおける発現、機能は不明な点が多い。本研究でDLBCLの約半数、特にGCB typeにおいて発現が見られることを見出し、LR11発現症例ではその古典的化学療法であるCHOP療法下でのOSが高かったが、R-CHOP療法下ではその予後に差を見いだせなかった。さらにin vitroでの研究において、LR11, CD20, 補体のC3がlipid raft上でタンパク複合体をつくること、LR11発現を抑制したところ、Rによる補体依存性細胞障害(Complement dependent cytotoxity; CDC)が増強していることを見出した 。 このことはLR11がRによるCDCを負に制御している可能性を示唆している。本研究はこれらサブグループ分類の分子レベルでの生物学的意義の一端を明らかにし、さらにDLBCLの治療法を進展させうる研究であると考えられる。
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