研究課題
基盤研究(C)
肺MPE腺癌は殆どの症例おいて種々の割合で他の組織亜型の成分が混在している。そのため、手術で切除された未固定腫瘍組織を用いたプロテオーム解析によるMPEの特異的タンパク質の確定は極めて困難である。平成27年度の研究では、我々はホルマリン固定・パラフィン包埋した3症例のMPE腺癌を対象にし、同一腫瘍からMPE成分とnon-MPE成分をlaser capture microdissectionにてそれぞれ単離し、QIAGEN RNeasy FFPE kitによって微量RNAを抽出した。抽出した微量RNAの増幅を行った後、Affymetrix 社Human Genome U133 Plus 2.0 Array GeneChipを用い、cDNAマイクロアレイによるMPEとnon-MPEにおいて特異的に高発現あるいは低発現・欠失する遺伝子を網羅的に解析した。MPCとnon-MPCの間に発現比率2倍以上に変動した遺伝子が数千個以上検出され、両者の遺伝子発現プロファイルの違いが示唆された。しかし、cDNAマイクロアレイ解析を行う前にlaser capture microdissectionした組織から抽出した微量RNAの前増幅が不可欠であるため、最終に得られた結果がそれに修飾されている可能性がある。よって、現時点で得られた結果からMPEの高悪性度と高い浸潤・転移能に寄与する因子の選び出すのはより詳細かつ慎重な解析が必要である。平成27年度までの研究では、患者胸水から一つのMPE細胞株の樹立に成功した。その細胞株を利用した増殖能や浸潤能などMPEの生物学的悪性度の解析は関係研究者が行っている。更に、術中で2症例のMPE肺癌から採取した腫瘍組織を利用した細胞株の初期樹立にも成功しており、現在、関係研究者がその二つの細胞株のヌードマウス移植腫瘍の作成を努めている。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
Asian Pac. J. Cancer Prev
巻: 17 ページ: 289-294
Asian Pac J Cancer Prev
巻: 16 (17) 号: 17 ページ: 7959-7965
10.7314/apjcp.2015.16.17.7959
巻: 16(16) 号: 16 ページ: 7039-7044
10.7314/apjcp.2015.16.16.7039