研究課題
基盤研究(C)
ALK腎癌は 2016年に改訂された新 WHO分類の第 4版にも暫定概念として取り入れられたが、いまだ報告例は 10例にも満たない。今回、我々はALK転座型腎細胞癌の STRNという新しい転座パートナーを同定した。この STRNという遺伝子のパートナーは甲状腺癌で同定されたが、腎癌でのこれまでの報告はなく、VCNという遺伝子のパートナーを持つ黒人に特有の腎髄質癌に類似する欧米型の ALK腎癌とは全く異なることにおいても価値があるものと思われる。このALK腎癌は肺に発生する ALK腺癌でみられるように、粘液性の間質を背景に篩状の増殖を呈することを特徴としており、横紋筋肉腫に類似した核の偏在するラブドイド細胞が充実性に増殖する像もみられることを明らかにした。また、この1例には肺にも病変が存在し、ALK肺癌の腎転移の鑑別を要したが、肺の病変はかなり小さく、 (Am J Surg Pathol 2016;40:761-769)。両側腎臓に発生した Xp11.2転座型腎細胞癌の症例報告を現在、Diagnostic Pathologyに提出した。この症例は 7年のインターバルで両側性に発生した腎細胞癌であり、7年前の診断は淡明細胞型腎細胞癌と診断されていたが、標本の再検討により、TFE3の免疫染色が陽性で、TFE3 break apart FISHでもTFE3遺伝子の転座がみられ、Xp11.2転座型腎細胞癌と診断された。両側の組織像は異なっており、異時性に別々の稀な腫瘍が発生したものと考えられ、かなり貴重な症例と考えられた。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
Am J Surg Pathol
巻: 40 号: 6 ページ: 761-769
10.1097/pas.0000000000000610
Diagnostic Histopathology
巻: 22 号: 2 ページ: 47-56
10.1016/j.mpdhp.2016.01.005