研究課題
基盤研究(C)
フランスの研究グループにより確立され,WHO分類2010年版に掲載された免疫組織化学的分子病理学的診断法(新診断法)を日本の症例に応用したところ,明瞭な診断成績が得られ,有用であることが判明した。そして,この新診断法の応用により,日本の肝細胞腺腫症例や限局性結節性過形成症例の特徴が明らかになった。すなわち,日本の肝細胞腺腫症例は性差がなく,背景因子としては経口避妊薬は少なく,肝内血行異常が多いことが判明した。さらに。肝細胞腺腫と限局性結節性過形成は組織所見としては相異が少なく,分子生物学的,免疫組織化学的手法によって鑑別されることが判明した。
従来,日本では,肝細胞腺腫の危険因子である経口避妊薬の服用者が少ないことから,肝細胞腺腫患者はきわめて少ないと推測されてきた。しかし,WHO分類2010年版での分子病理学的,免疫組織化学的診断法(新診断法)の応用により,日本にも肝細胞腺腫患者が相当数存在することが判明した。また,肝細胞腺腫の診断が容易になったことで,日本の肝細胞腺腫患者の特徴(欧米との相異=性差,経口避妊薬服用歴等)が明らかになった。以上のことは,日本の肝細胞腺腫患者を正しく診断し,適切な臨床的対応をするうえで,きわめて有意義であると考えられた。
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