研究課題
基盤研究(C)
エキノコックス(Em)は、北半球の広い地域で人獣に被害をもたらしている寄生虫である。成虫期には犬科動物の腸管内、幼虫期にはげっ歯類の肝臓に寄生する。幼虫はヒトにも寄生してガンのように増殖し、致死的な病害をもたらす。Emは、宿主体内で活発に発育・増殖するための主要なエネルギー源としてグルコースを宿主から横取りしているが、その分子機構は不明であった。本研究では、Emのグルコース摂取に関与すると推測される3種類のトランスポーター遺伝子を見出し、そのグルコース輸送特性の一端を明らかにした。また、Emが、発育期や寄生環境に応じて複数の異なるトランスポーターを使い分けていることを示唆する知見を得た。
エキノコックス(Em)の人獣に対する主要な病害は、幼虫期の活発な増殖に起因する。Emのグルコース摂取機構は、虫体の活発な増殖を支えるエネルギー代謝機構の根幹をなすものであり、したがって、虫体増殖による疾病を制御するためのアキレス腱であると考えられる。そのグルコース摂取に関わる分子機構の一部を初めて明らかにした点に、本研究の学術的な意義がある。本研究で対象としたEm とその近縁寄生虫類は、人体のみならず様々な家畜や伴侶動物にも寄生し、世界中で深刻な被害をもたらしている。本研究により得られた知見は、近縁寄生虫類による疾病の制御への波及効果も期待される。
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Journal of the American Veterinary Medical Association
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