研究課題
基盤研究(C)
申請者らは近年,アレルギー性炎症を含む各種慢性炎症性疾患において細胞外マトリックスタンパク質の一種ペリオスチンが線維芽細胞より過剰に産生され,炎症病態を増悪化させることを見出した。本研究はペリオスチン産生線維芽細胞の特徴を明らかにし,ペリオスチンを標的としたアレルギー性炎症および組織線維化疾患治療戦略の基盤確立を目的として開始した。研究初年度においては①ペリオスチン遺伝子(Postn)のゲノム改変実施の予備検討,②Postnの発現調節機構を明らかにするための線維芽細胞株を用いたPostnプロモーターの転写制御解析を目標と設定した。まず,ゲノム改変実験系の確認のため,例としてマウスPostn遺伝子を破壊するためのCRISPR/Cas9コンストラクトを作成し,線維芽細胞株において実際にPostn遺伝子の特定の領域に変異を導入することが可能であるか確認した。その結果,Postn遺伝子の2アリルのうちいずれかのアリルへの変異導入は約半数の細胞で行えていた。両アリルともナンセンス変異が導入されていた細胞は解析した11細胞株中1細胞のみ(約9%)であった。実際にこれらの細胞におけるペリオスチンタンパク質の産生低下がELISA法にて確認された。一方,Postnプロモーターの転写制御解析はヒトPOSTN遺伝子の5'UTR領域約5100塩基をルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込んだレポーター遺伝子を構築し,ヒト細胞株を用いて実施した。組み込む5'UTR領域を徐々に短くしていくことによってPOSTN遺伝子におけるIL-13依存的転写制御に強く寄与している領域を同定した。また、既知のある転写因子の結合配列に相当する領域に点変異を導入したレポーター遺伝子では同転写活性能が著しく障害されることも見出すことができ,IL-13依存的なPOSTN遺伝子の転写制御機構を明らかにしつつある。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Allergology International
巻: 64 号: Supplement.1 ページ: 3-10
10.1016/j.alit.2015.04.012
130005290263
分子消化器病学
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http://www.biomol.med.saga-u.ac.jp/medbiochem/index.php