研究課題/領域番号 |
15K15381
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
感染症内科学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森永 芳智 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (30580360)
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研究分担者 |
関野 元裕 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (40380927)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2015年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2016年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2015年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ミトコンドリアDNA / 敗血症 / 制御性T細胞 / NETs |
研究実績の概要 |
感染症にともなう炎症病態の識別化に果たす、ミトコンドリア分子と免疫細胞の役割を解析した。 (1)敗血症における細胞外ミトコンドリアの証明と生理活性 :敗血症では血漿中ミトコンドリアDNA(mtDNA)遺伝子(mtCRS、mtMTATP)の上昇がみられ、敗血症での細胞外ミトコンドリアの循環を証明した。また、同時に観察された染色体性DNAの増加は、細胞死に関連することを示唆した。また、mtDNAが形質細胞様樹状細胞のTNF-α, IL-6, CXCR3、単球・マクロファージ系細胞のTNF-αの発現を亢進させる生理活性があることが明らかとなった。 (2)自然免疫による識別化(好中球):敗血症では、好中球と制御性T細胞はアポトーシス耐性細胞であるため末梢血での評価が比較的容易である。炎症に伴う好中球の増加は非特異的な現象と考えられてきたが、末梢血液中に含まれるNeutrophil extracellular traps(NETs)様形態をとる好中球細胞死が病態に応じて増減し、循環mtDNA増加の由来である可能性が考えられた。興味深いことに、このNETs様細胞は発症急性期に増加後は減少に転じ、顆粒に富む中毒性好中球が増加した。このことは、好中球には機能が異なる二つのサブタイプが存在することを示しており、免疫学的側面を証明するための新たなアプローチが必要と考えられた。 (3)獲得免疫による識別化(制御性T細胞):敗血症ではCD28抗原高発現(CD28HI)の制御性T細胞が多く、臨床上鑑別が必要な非感染性炎症とは異なる所見であることを見出した。敗血症症例群の中においても、救命できない症例ではCD28抗原が極めて低く(CD28LO)、CD28HIとCD28LO間の遺伝子発現アレイにより、核酸結合・プロセシング関連遺伝子が制御性T細胞の機能に関わっていることがわかってきた。 敗血症病態に細胞死が関わることを支持し、好中球と制御性T細胞の解析により異なる角度から病態を識別できる可能性が出てきたとともに、これらの細胞の新たな免疫学的機能を解明する基盤となった。
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