研究実績の概要 |
双極性障害は、躁病相とうつ病相という対極的な病相を繰り返す疾患であり、睡眠ー覚醒サイクルの障害などサーカディアンリズムが異常な疾患である。初めに、末梢組織であるマウスの唾液腺と中枢神経系の時計遺伝子を比較し、時計遺伝子の末梢組織と中枢神経系の変化の違いを検討した。 C57BL/6雄を3.5時間おきに800 lx照度での明期と真っ暗な暗期をかえる環境で2週間飼育することで、うつ病モデルマウスが作成出来る(LeGates TA et. Al, Nature 491; 594-598. 2012)。対照群としては、通常の12時間周期に明暗期のマウスを使用した。うつ病モデルマウスの顎下腺でのBmal1, Nr1d1, Per1, Per2, Cry1, Cry2のRNA発現量は有意に低下していた(ANOVAs, p<0.05, n=6)。さらに中枢神経の海馬においても、同様にClock, Bmal1, Nr1d1, Per1, Per2, Cry1が対照群と比較して有意に低下を認めた(ANOVAs, p<0.05, n=6)。 従って、マウスにおいてはうつ状態の時に中枢神経系での時計遺伝子の変化を同様に末梢組織である唾液腺で測定出来ることが判明した。
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