研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は、1)小児期、思春期、青年期の性別違和を持つ当事者の性的自己の成長軌跡を検討すること、それと並行し、2)小児期、思春期、青年期の母集団のさまざまな性の諸側面の分散について基礎データを蓄積すること、3)それらを踏まえ、臨床的応用、特にどのような環境が整えられるべきかについて検討することを目的とした。1)のデータを取る中で学校環境の重要性が見いだされたため、3)の実証を行い、その結果が学会発表および学術誌ヘの掲載として結実した。また多様な性の子どもを取り巻く環境に関する情報サイト作成などアウトリーチ活動も行った。
本研究の特色と独創性としては、これまで成人したトランスジェンダーの当事者に子ども時代を回想してもらった心理学研究はあったものの、子ども自身に協力を募った研究は、本邦初であるという点である。また、多様な性的ありようの中に病理をみいだすのではなく“成長”という観点からアプローチを試みている点が特徴的である。さらに、得た知見を積極的に関連の専門家や当事者を取り巻く環境にフィードバックをするよう努め、具体的な環境整備やサポート体制の構築に役立てようとしている。
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