研究課題/領域番号 |
15K16647
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
美術史
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
池田 真弓 慶應義塾大学, 理工学部(日吉), 准教授 (70725738)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2017年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2016年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2015年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 初期刊本 / 美術史 / 書物史 / インキュナブラ / 写本装飾 / ドイツ / 書誌学 / 挿絵 / 植物 / 出版史 |
研究成果の概要 |
15世紀後半のマインツで活動した活版印刷業者ペーター・シェーファーの出版物の装飾や挿絵といった視覚的要素の研究を行った。彼の初期の出版物では、伝統的な写本装飾のスタイルを大量に生産される印刷本で品質を維持した状態で再現するために独創的な手法を用いたことが明らかになった。一方後期の出版物では、初期作品と異なり、印刷物と親和性の高い木版挿絵が採用され始める。本研究のケーススタディで取り上げた2点の薬草事典に関しては、その出版にシェーファーの積極的な関与があったと結論づけることはできなかったが、挿絵の性質や内容を、それぞれの想定顧客層のニーズに合わせて調整していたことが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ペーター・シェーファーは、活版印刷術発明者とされるヨハン・グーテンベルクの弟子であり、その誕生と発展に寄与した人物である。そのため、初期活版印刷本の研究においても重視されているが、シェーファーの出版物の視覚的要素に関する本格的な研究は、本報告者のものをおいてほとんどない。本研究で明らかになったのは、出版物の装飾や挿絵を重要視し、積極的に活用しようとする姿勢と、種々の実験的な手法を試みて活版印刷術の可能性に挑戦した、進取の気性に富んだ人物の姿である。印刷業者としての彼の試みや姿勢といったものは、現代、新たな技術に対峙する際の我々にとっても極めて示唆的である。
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