研究課題
若手研究(B)
本研究は、本州島東北部の弥生・続縄文時代以降の文化集団の食性変遷を、土器付着物の炭素・窒素同位体分析、C/N比分析を用いた食性分析から解明するものである。研究課題は、①東北北部の稲作受容と続縄文時代の食性、②トビニタイ文化の食性復元、③器種組成・サイズの違いによる食性差の3つを設定した。東北地方の弥生時代前期では、雑穀利用は確認できず、沿岸部では稲作と併用して漁撈活動が行われた。北海道では全時期を通して海生生物に依存した食性であったが、各文化間では、その内容物に少し異なる傾向がみられた。これらの違いは、サケ・マス利用や雑穀栽培、海獣狩猟等による北方地域特有の生業に起因するものと考えられる。
本研究は、1970年代から行われてきた骨コラーゲンの食性分析法を、新たに土器付着物に応用するものであり、新規性が高いと言える。これまで、文化集団の食性における議論は、人骨や動物・植物遺存体資料の分析や、土器・石器等の属性分析を中心に行われてきた。これらの先行研究は資料の蓄積とともに成果を挙げてきたが、一方で資料が不足する地域では研究が停滞してきた。本研究成果は、このような課題を克服すると同時に、考古学の新たな食性分析に展望を開く可能性を有している。本州島東北部を中心とした先史文化間の食性に関する独自性や共通性、形成過程を議論することは、各地域における現代の社会文化を考える上でも重要になる。
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