研究課題
若手研究(B)
レジリエンスとは、ストレスによって精神的にダメージを受けても、そこから立ち直る精神的な回復力のことを指す概念である。本研究では、個人が自覚できていない潜在的なレジリエンスを引き出すアプローチを考案し、介入プログラムの開発・検討を行った。具体的には、投影法を用いた5種類のワークを考案し、そこから読み取れる潜在的なレジリエンスを分析した上で、包括的なグループ・プログラムを構成し、効果検討を行った。その結果、レジリエンスの多様性の認識を基盤として、非能動的なレジリエンスへの気づきや、レジリエンスに至るプロセス・方法の拡がり、自分のレジリエンスの信頼といった変化がもたらされることが示唆された。
本研究課題で開発された臨床心理学的介入プログラムは、従来のプログラムでは効果が得られにくかった、もともとレジリエンスの低い人が、今まで自覚できていなかった自らの資質に気づき高めることを期待できるものであり、臨床実践を通して社会に還元される成果が得られたと言える。また、潜在的な資質にはたらきかけるという視点を持ったアプローチは、レジリエンスに限らず、臨床心理学的アプローチのあり方に新たな視点をもたらすものである。さらに、レジリエンスを投映法で測定しようとする試みは、レジリエンスの基礎研究の文脈においても非常に独創的であり、今後のレジリエンス概念の理解の発展に資する知見が得られたと考えられる。
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