研究課題
若手研究(B)
固体の構造は複雑であり不純物や熱等の環境的雑音が核スピンに大きく影響しデコヒーレンスの原因となっている。解決法の一つとして究極の高品質材料の作製であるが道のりは長い。古典の情報処理でも使用される尖鋭化を量子操作レベルで行い環境雑音を除去し量子状態を保護するという新たな視点から研究を行った。そして、量子情報処理、磁場センサーへの応用化を促進することを目的に行った。固体中の不純物や熱などの要因で起こる環境雑音から、固体中の常磁性中心(特に、ダイヤモンド中のNV中心)が持つ電荷を電流制御により尖鋭化し、核スピン量子状態を保護する手法の確立に向けて研究を行った。核スピン量子qubitを保護するには、より高速で電荷が動くことで尖鋭化状態をつくるほうが良いことから、Pin接合型ダイヤモンド基板中のNV中心の電荷状態を高速に動かしつつ尖鋭化状態をつくることを目指した。直流操作で電荷状態の変化は確認されていたが、交流操作で動かすことでより電荷の柔軟な操作性を求められないかという研究を行った。本研究は、核スピン量子qubitを保護する目的で行われているが、交流操作性の確認に加えて、直流操作ではみられない交流操作でみられる変わったピークを発見し興味深い物性の結果を得ることができた。これらの結果は、NV中心を含むダイヤモンド基板作製においても重要となる結果である。これらの成果に加えて、ダイヤモンド量子情報処理のみならず様々な物理系も含め光量子ネットワーク上で重要となる多者間量子もつれ量子操作に関する理論提案を行い、現在一本の論文を投稿中である。また、光子系やダイヤモンド量子情報処理における現状に関するセミナーを一件行った。