マウス胎児への臓器幹細胞移植による臓器作出

• 研究課題/領域番号: 15K18803
• 研究種目: 若手研究(B)
• 配分区分: 基金
• 研究分野: 統合動物科学
• 研究機関: 秋田大学
• 研究代表者: 関 信輔 秋田大学, バイオサイエンス教育・研究サポートセンター, 助教 (60749167)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2019-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2018年度)
• 配分額: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円); 2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円); 2016年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円); 2015年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
• キーワード: 幹細胞移植 / インユーテロ法 / インユーテロ移植 / ゲノム編集 / 臓器作出 / 異種間移植

研究成果の概要

本研究では血液・臓器欠損マウス胎仔に分化運命の決定している組織前駆細胞を局所的に移植する方法で異系統・異種体内での血液・臓器作出を行うことを目指した。マウス胎仔への細胞移植はあまり例がなかったが、細胞移植したのちに、安定的に正常に発生させることに成功した。また、マウス異系統（GFP系統）由来の造血幹細胞を血液欠損マウス胎仔に移植することで血液を補完することに成功した。さらに、膵臓欠損マウス胎仔に異系統由来の膵前駆細胞を移植することで、一部ではあるが、GFP蛍光を示す移植細胞由来の膵臓細胞が宿主マウスに形成されていることが観察された。

研究成果の学術的意義や社会的意義

臓器不全症の治療には臓器移植が有効であるが、ドナー不足や生体適合性の問題などを解決できていないのが現状である。そこで、移植可能な臓器を患者自身の細胞から作ることは再生医療の重要な目標の１つである。その方法の一つとして、動物体内での臓器作出が有効なのではないかと考えられており、本研究で実施した動物胎仔への臓器前駆細胞の移植は、いますぐヒトの血液あるいは臓器作出を試みることができる戦略である。マウス胎仔に細胞を移植することさえ可能かどうか不明であったが、異系統由来の血液あるいは膵臓細胞（一部ではあるが）の作出に成功しており、さらなる研究が期待される。莫大な医療ニーズに応える可能性を秘めている。

研究成果

• [雑誌論文] Vitrification of one-cell mouse embryos in cryotubes (2018)
  • 著者名/発表者名: Seki S, Basaki K, Komatsu Y, Fukuda Y, Yano M, Matsuo Y, Obata T, Matsuda Y, Nishijima K.
  • 雑誌名: Cryobiology 巻: 81 ページ: 132-137
  • DOI: 10.1016/j.cryobiol.2018.01.013
  • 査読あり
• [雑誌論文] 2種の guide RNA を同時に用いたCRISPR/Cas9 システムによる高率なノックアウトマウスの作出 (2017)
  • 著者名/発表者名: 関 信輔, 場﨑 恵太, 小松 幸恵, 塚本 智史, 門脇 歩, 山口 智和, 幸丸 純貴, 福田 康義, 矢野 愛美, 小畑 孝弘, 小代田 宗一, 久場 敬司, 西島 和俊
  • 雑誌名: 秋田医学 巻: 44 号: 1 ページ: 37-43
  • DOI: 10.20569/00003346
  • NAID: 120006344057
  • URL: https://air.repo.nii.ac.jp/records/2981
  • 年月日: 2017-06-30
  • 査読あり
• [雑誌論文] 細胞内氷晶形成メカニズムの解明と 細胞内氷晶形成回避における融解速度の重要性 (2017)
  • 著者名/発表者名: 関 信輔
  • 雑誌名: 低温生物工学会誌 巻: 63 号: 2 ページ: 77-84
  • DOI: 10.20585/cryobolcryotechnol.63.2_77
  • NAID: 130006706881
  • ISSN: 1340-7902, 2424-1555
  • 査読あり
• [雑誌論文] Production of the medaka derived from vitrified whole testes by germ cell transplantation. (2017)
  • 著者名/発表者名: Seki, S., Kusano, K., Lee, S., Iwasaki, Y., Yagisawa, M., Ishida, M., Hiratsuka, T., Sasado, T., Naruse, K., Yoshizaki, G.
  • 雑誌名: Scientific Reports 巻: 7 号: 1 ページ: 43185-43185
  • DOI: 10.1038/srep43185
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Intracellular ice formation in mouse zygotes and early morulae vs. cooling rates and temperature-experimental vs. theory (2016)
  • 著者名/発表者名: Jin B, Seki S, Paredes E, Qiu J, Shi Y, Zhang Z, Ma C, Jiang S, Li J, Yuan F, Wang S, Shao X, Mazur P
  • 雑誌名: Cryobiology 巻: 73 号: 2 ページ: 181-186
  • DOI: 10.1016/j.cryobiol.2016.07.014
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] マウス初期胚のガラス化保存における急速融解の重要性 (2016)
  • 著者名/発表者名: 関 信輔, Peter Mazur
  • 雑誌名: 低温生物工学会誌 巻: 62 ページ: 105-108
  • NAID: 130006885556
  • 査読あり
• [雑誌論文] マウス卵子・初期胚の凍結保存における急速融解の重要性 (2015)
  • 著者名/発表者名: 関 信輔
  • 雑誌名: 日本臨床エンブリオロジスト学会誌 巻: 17 ページ: 1-8
• [雑誌論文] Production od viable trout offspring derived from frozen whole fish (2015)
  • 著者名/発表者名: Lee S, Seki S, Katayama N, Yoshizaki G
  • 雑誌名: Scientific reports 巻: 5 号: 1 ページ: 16045-16045
  • DOI: 10.1038/srep16045
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] 細胞内氷晶形成メカニズムの解明と細胞内氷晶形成回避における融解速度の重要性 (2017)
  • 著者名/発表者名: 関 信輔
  • 学会等名: 第62回 低温生物工学会セミナー及び年会
  • 招待講演
• [学会発表] Conservation of the medaka bio-resources by cryopreservation of germ cells. (2017)
  • 著者名/発表者名: Seki S, Yoshizaki G
  • 学会等名: The 54th Annual meeting of the society for Cryobiology
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 凍結保存技術における急速融解の重要性と絶滅危惧種の保全 (2017)
  • 著者名/発表者名: 関 信輔
  • 学会等名: 第30回 秋田応用生命科学研究会
  • 招待講演
• [学会発表] 超低温保存精原細胞由来のメダカ近交系および野生地域集団の復元 (2017)
  • 著者名/発表者名: 関 信輔, 笹土隆雄, 福田康義, 矢野愛美, 小畑孝弘, 松尾悠平,場﨑恵太, 小松幸恵, 松田幸久, 成瀬 清, 西島和俊
  • 学会等名: Cryopreservation Conference 2017
• [学会発表] 急速融解によるマウス１細胞期胚ガラス化保存法の開発 (2016)
  • 著者名/発表者名: 関 信輔, 場﨑恵太, 小松幸恵, 福田康義, 矢野愛美, 小畑孝弘, 西島和俊
  • 学会等名: Cryopreservation Conference 2016
  • 発表場所: 基礎生物学研究所（愛知県）
  • 年月日: 2016-11-10
• [学会発表] 両生類の遺伝資源を保全するための統合的な技術開発 (2016)
  • 著者名/発表者名: 笹土隆雄, 関 信輔, 柏木啓子, 花田秀樹, 鈴木賢一, 山本卓, 成瀬清, 柏木昭彦.
  • 学会等名: Cryopreservation Conference 2016
  • 発表場所: 基礎生物学研究所（愛知県）
  • 年月日: 2016-11-10
• [学会発表] Vitrification of mouse zygotes; effect of rapid warming. (2016)
  • 著者名/発表者名: Seki S, Basaki K, Komatsu Y, Fukuda Y, Yano M, Obata T, Matsuda Y, Nishijima K
  • 学会等名: The 53rd Annual meeting of the society for Cryobiology
  • 発表場所: Ottawa, Canada
  • 年月日: 2016-07-24
• [学会発表] Production of medaka individuals derived from cryopreserved spermatogonia by allogenic transplantation (2016)
  • 著者名/発表者名: Seki S, Kusano K, Lee S, Iwasaki Y, Ishida M, Sasado T, Naruse K, Yoshizaki G
  • 学会等名: The allied genetics conference, 12th international conference on zebrafish development and genetics
  • 発表場所: Orland, USA
  • 年月日: 2016-07-13
  • 国際学会
• [学会発表] 凍結保存における急速融解の重要性 (2016)
  • 著者名/発表者名: 関 信輔, Peter Mazur
  • 学会等名: 第61回 低温生物工学会
  • 発表場所: 東京電機大学（埼玉県）
  • 年月日: 2016-06-25
• [学会発表] How to preserve genetic resources when it is difficult to cryopreserve their embryos (2016)
  • 著者名/発表者名: Seki S
  • 学会等名: NIH workshop, Cryopreservation of Drosophila Strains.
  • 発表場所: Orland, USA
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 両生類における生殖幹細胞凍結保存法の開発と代理親への移植法の開発 (2015)
  • 著者名/発表者名: 関 信輔, 柏木啓子, 花田秀樹, 笹土隆雄, 鈴木賢一, 山本卓, 成瀬清, 柏木昭彦
  • 学会等名: Cryopreservation conference 2015
  • 発表場所: 岡崎コンファレンスセンター
  • 年月日: 2015-10-28
• [学会発表] 凍結融解後の生存性は融解速度に支配される (2015)
  • 著者名/発表者名: 関 信輔, Peter Mazur
  • 学会等名: Cryopreservation conference 2015
  • 発表場所: 岡崎コンファレンスセンター
  • 年月日: 2015-10-28
• [学会発表] 生殖幹細胞移植による凍結細胞由来のメダカ個体作出 (2015)
  • 著者名/発表者名: 関 信輔
  • 学会等名: 第62回 日本実験動物学会総会
  • 発表場所: 京都テルサ
  • 年月日: 2015-05-28
  • 招待講演
• [図書] 青淵 絶滅危惧種メダカの保全, 超低温保存した細胞からメダカの復元に成功 (2018)
  • 著者名/発表者名: 関 信輔
  • 総ページ数: 3
  • 出版者: 公益財団法人 渋沢栄一記念財団
• [図書] Vitrification in Assisted Reproduction From Basic Science to Clinical Application (2015)
  • 著者名/発表者名: Seki S. （分担執筆）
  • 総ページ数: 247
  • 出版者: Taylor & Francis Books Ltd.
• [備考] 秋田大学プレスリリース, 凍結保存した精巣組織の細胞から絶滅危惧種であるメダカを再生することに成功
  • URL: http://www.akita-u.ac.jp/honbu/event/item.cgi?pro3&562
• [備考] JST サイエンスポータル 絶滅危惧種を救え 超低温保存した細胞からメダカの再生に成功
  • URL: http://scienceportal.jst.go.jp/clip/20170605_01.html
• [備考] Academist Journal メダカを絶滅の危機から救え, 東京めだかを超低温保存細胞から復活
  • URL: https://academist-cf.com/journal/?p=5037
• [備考] 大学ジャーナルオンライン, 精巣を凍結保存していたメダカ、再生に成功、秋田大学など
  • URL: http://univ-journal.jp/12928/
• [備考] 凍結保存した精巣組織の細胞から絶滅危惧種であるメダカを再生することに成功
  • URL: http://www.akita-u.ac.jp/honbu/event/item.cgi?pro3&562
• [備考] 凍結保存した精巣組織の細胞から絶滅危惧種であるメダカを再生することに成功
  • URL: http://www.nibb.ac.jp/press/2017/03/28.html