研究課題
若手研究(B)
FibrocyteはCD14陽性monocyte由来のコラーゲン産生能を持つ細胞で、線維化における役割が注目されている。NintedanibはFGFR、PDGFR及びVEGFRに対するマルチキナーゼ阻害薬であり、特発性肺線維症に対する抗線維化効果が期待されているが、作用メカニズムに不明な点も残されている。今回、我々はNintedanibのヒトfibrocyte機能に及ぼす効果の解析を行い、その抗線維化メカニズムについて検討した。in vitroにおける検討の結果、fibrocyteはmonocyteやfibroblastよりも多量のPDGF-AAやPDGF-BBを分泌しており、FGF-2もfibroblastと比較して同等程度の量を分泌していたことを示した。また、fibrocyteの培養上清中に含まれるgrowth factorによるfibroblastへの増殖刺激作用と、それに対するnintedanibの阻害効果を検討したところ、fibrocyte培養上清により、fibroblastの増殖が促進され、更にnintedanibを加えることにより、その増殖活性は量依存的に阻害された。次にnintedanibがmonocyteやfibrocyteへ及ぼす作用について検討した。Nintedanibの投与はfibronectin-coated dish上におけるmonocyteからfibrocyteへの分化誘導を抑制し、recombinant FGF2やPDGF-BB、VEGF-Aの投与は分化誘導を促進した。更に分化後のfibrocyteのFGF-2やPDGF-BBに誘発された遊走を阻害した。これらin vitroで得られた結果を経て、ブレオマイシン誘発肺線維症マウスモデルにおけるnintedanibの抗線維化効果を検討した。nintedanibは同モデルのday7における肺内浸潤fibrocyte数を減少させ、day21における線維化スコアを低下させた。これらの結果から、Nintedanibはfibrocyteを介した多彩な抗線維化効果を有している可能性が示唆された。in vitroの結果は2015年の米国胸部学会において発表された。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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