研究課題
若手研究(B)
本研究では、KLHL3がどのような調節を受けているかを詳細に検討し、この系の未知の部分である、塩分摂取とKLHL3を結ぶ部分の全容を解明に近づけることを目標とした。1.レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系によるKLHL3の発現や転写の影響の解析を行った。マウスにアンジオテンシンII、アルドステロン、及びその阻害剤を投与したところ、KLHL3の蛋白発現や転写活性に明らかな変化は認めず、これらの因子にKLHL3が制御を受けるという証拠は得られなかった。2. KLHL3の機能調節へのリン酸化の関与及び生理的意義について解析した。培養細胞にWNKキナーゼとKLHL3を共発現させたうえで免疫沈降やkinase assayなどを行い検討した。この結果、KLHL3はリン酸化によってWNK4との結合能が減少すること、このリン酸化はPKA及びAktによって制御されることを解明した。これはインスリンやバソプレシンによるWNKシグナル制御の生理的メカニズムの一部分と考えられ、Biochemical and Biophysical Research Communications誌に成果を発表した。3. 腎におけるWNK-OSR1/SPAK-NCCカスケードにおいて、主にWNK1とWNK4が関与していることは確認されているものの、このどちらが支配的なのかは不明であった。そこで、WNK4ノックアウトマウスとPHAIIモデルマウスであるKLHL3(R528H/+)マウスを交配し、WNK4(-/-)KLHL3(R528H/+)マウスを作製した。このマウスはWNK1が増加していたにも関わらずOSR1、SPAK、NCCのリン酸化は著明に低下しており、WNK1単独では本カスケードを活性化できず、WNK4が活性化に必須であることを証明した。この成果については米国腎臓学会で発表し、現在投稿準備中である。
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Biochem Biophys Res Commun.
巻: 467 号: 2 ページ: 229-234
10.1016/j.bbrc.2015.09.184