研究課題
若手研究(B)
小児胆道閉鎖症患者(BA)から得られたサンプルを用いて胆汁酸産生の制御について解析した。肝細胞ではCYP7A1 mRNAの発現はBAでは血清胆汁酸濃度が高値であるにもかかわらず抑制されていなかった。血清FGF19濃度は上昇し、肝細胞でFGF19蛋白が合成されていることを認めた。一方でFGFR4は肝臓においてリン酸化されていたがSPRY2発現によりFGFR4下流でERKが不活性化されていた。肝細胞にクローズアップして解析すると、慢性胆汁鬱滞の状況下にある肝細胞では、SPRY2の発現増加によりERK経路が不活性化しCYP7A1 mRNAの適切な発現抑制が起こらず胆汁酸生合成は抑制されていなかった。
肝細胞にクローズアップして解析すると、慢性胆汁鬱滞の状況下にある小児胆道閉鎖症患者の肝細胞においては、SPRY2の発現増加によりERK経路が不活性化することでFGF19経路のCYP7A1 mRNAの適切な発現抑制が起こらず、胆汁酸生合成は抑制されていなかった。このことは胆道閉鎖症における急速な肝硬変、肝不全への進行のメカニズムの一因である可能性がある
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Hepatol Res
巻: 49 号: 3 ページ: 314-323
10.1111/hepr.13245