研究課題
若手研究(B)
本研究では、成体毛包幹細胞の多様性とその維持に寄与する細胞外環境の誘導機構を明らかにするため、分子マーカー非依存的な2つの手法:マウス毛包発生のex vivo 4次元ライブイメージング法と1細胞トランスクリプトームを統合させたマルチオミックス解析を行った。ライブイメージングにおいて、毛包の細胞動態を網羅的に追跡することで、毛包幹細胞の起源と細胞系譜を同定することに成功した。さらに、胎児期毛包組織から経時的に取得したsingle cell transcriptomeの解析から、幹細胞が分化・成熟していく過程の細胞状態の変遷を明らかにした。
本研究により、一見均質な細胞から幹細胞と分化細胞が生み出され組織の秩序や恒常性が形成されていく仕組みを理解することは、毛包だけでなく多くの器官発生に普遍的に存在する「可塑性と頑強性」の理解に繋がると期待される。さらに、幹細胞の適切な維持・制御に必須な細胞周辺環境の解明につながれば、生体外における毛包培養や胎仔性幹細胞の誘導・増殖・分化の制御技術の開発に大きく寄与することが期待され、将来的には薬剤評価系の確立など、皮膚や毛包に伴うがんや疾病に向けた創薬開発に貢献できると期待される。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
PLoS One
巻: 11 号: 9 ページ: 1-20
10.1371/journal.pone.0161336
Journal of Theoretical Biology
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10.1016/j.jtbi.2015.07.006