研究課題
若手研究(B)
本研究では、細胞間情報伝達および腫瘍進展に影響を及ぼすと考えられている細胞外小胞、exosomeをターゲットとして、食道扁平上皮癌(ESCC)進展への影響およびマーカーとしての有用性を評価した。ESCC細胞株におけるexosome放出能をAChE活性を用いたexosome定量系を用いて評価し、高放出株としてTE2を選定、exosome markerの1つであるCD63を蛍光標識した細胞株(TE2-CD63-GFP)を遺伝子導入にて樹立した。この細胞株を用いてマウス皮下腫瘍モデルを作成、腫瘍および各臓器・血漿由来exosomeの蛍光イメージングにより腫瘍由来exosomeのin vivoでの動態解析を試みた。血中への癌由来exosome放出を確認し得たが、臓器特異的集積に関しては評価できず、今後の課題と考えられた。癌由来exosomeが癌細胞自身の進展に及ぼす影響を評価するため、vitroにおいてエクソソーム添加、非添加群に対するproliferation assay, wound healing assayを行い、exosome添加にて細胞株の増殖能を抑制し(P<0.05)、遊走能を上昇させる(P<0.05)表現系を得た。exosome添加によって変動する遺伝子発現のmicroarrayを用いた評価は実施済であり、現在変動遺伝子に関する機能解析を進めている。血漿exosomeの定量系に関して、nanoparticle tracking assayおよびAChE活性による定量を比較し妥当性を評価した。ESCC患者血漿および非癌患者血漿から抽出したexosomeを定量し、臨床病理学的因子との関連につき解析したところ、血漿exosome量は癌患者において非癌患者より有意に高値(P=0.0014)であった。その一方で癌患者においてはexosome低値が独立した予後不良因子であり(P=0.03)、exosome量と癌のTNM因子やStage、宿主側の免疫能・炎症等との関連につき評価した。本研究は研究者の異動により2015年度で終了となる、また本研究結果は現在英文誌(Oncology Reports)に投稿中である。
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