研究課題
若手研究(B)
前年度、代表は週齢8週の手術モデルマウスを用い、トランスクリプトーム解析を用いてムスカリン作動性コリン受容体遺伝子やドーパミンD2遺伝子などの発現増大を認めた。今年度代表は35週齢の手術モデルマウスを用いてトランスクリプトーム解析を行った。35週齢マウスにおいては若年マウスにおいて認められなかったセロトニン受容体遺伝子の増大を認めた。このことはヒトにおいて術後悪心嘔吐の発症率に年齢差があることを示唆しているのかもしれない。これらの知見は新規であり、ヒトにおける術後悪心嘔吐の治療戦略に年齢差を考慮する必要が示唆された。若年マウスにおいてはRtn4rl2遺伝子など神経炎症の修復に関与する可能性のある遺伝子が増大したが、35週齢のマウスでは認められず、吸入麻酔薬や手術侵襲は若年マウスにおいて中枢神経炎症を惹起しているという過去の報告を支持する結果が得られた。吸入麻酔薬による週齢差を検討するため、吸入麻酔薬を曝露した8週齢と35週齢の2群のマウスについてトランスクリプトーム解析を行ったが、Lhx9遺伝子が35週齢のマウスにおいて最も強く発現し、セロトニン関連遺伝子は35週齢マウスにおいて強く発現した。Lhx9遺伝子の脳内の働きについては未知であるが、発達期の視床ニューロンにおいて強く発現していることが知られており、8週齢においては神経炎症に伴う防御機構が脆弱であるために発現していない可能性もあるかと思われる。
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Med Gas Res
巻: 6 号: 2 ページ: 70-76
10.4103/2045-9912.184715