先行研究により、帝王切開術における脊髄くも膜下麻酔中には、血圧低下に依存して母体局所脳組織の血液量や酸素飽和度が低下することを明らかにした。その局所脳組織の血液量および酸素飽和度の低下が心拍出量あるいは体血管抵抗の減少に関連すると予測されたため、本研究では近赤外分光法と動脈圧心拍出量測定にてこの関連性について調べた。その結果、局所脳組織の血液量と酸素飽和度の低下はいずれも体血管抵抗の低下に相関関係が認められた。心拍出量の関与は認められなかった。脊髄くも膜下麻酔中に生じる低血圧に伴う局所脳組織の血液量と酸素飽和度の低下は、脊髄くも膜下麻酔による体血管抵抗の低下に依存している可能性が示唆された。
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