配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2017年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2016年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2015年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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研究実績の概要 |
難治性副鼻腔炎は鼻副鼻腔粘膜への著明な好酸球浸潤を認めることから、好酸球性副鼻腔炎と呼ばれている。非好酸球性副鼻腔炎はヘルパーT細胞のうちTh1が優位なのに対し、好酸球性副鼻腔炎ではTh2が優位と考えられているが、詳細は解明されていない。近年、新たなリンパ球集団として自然免疫リンパ球:Innate Lymphoid Cells (ILCs)が同定され、Th1サイトカインを産生するILC1、Th2サイトカインを産生するILC2、Th17、Th22サイトカインを産生するILC3の3種類に分類されている。今回、慢性副鼻腔炎におけるILC1/2/3のバランスが、好酸球性、非好酸球性副鼻腔炎の病態の違いに関与しているのではないかと考え、慢性副鼻腔炎患者の末梢血あるいは鼻ポリープ内よりILC1,2,3を分離した。好酸球性、非好酸球性副鼻腔炎患者における末梢血中のILC1,2,3を比較したところ、すべてにおいて好酸球性副鼻腔炎患者で上昇していたものの有意差を認めなかった。また、好酸球性、非好酸球性副鼻腔炎患者における鼻ポリープ中のILC1,2,3を比較したところ、既知の通り、ILC2は好酸球性副鼻腔炎患者では非好酸球性副鼻腔炎患者と比較して有意差をもって上昇していたものの、ILC1、ILC3は好酸球性、非好酸球性副鼻腔炎患者では有意差を認めなかった(ILC1は非好酸球性副鼻腔炎患者では好酸球性副鼻腔炎患者と比べ上昇している傾向がみられ、ILC3はほぼ同等であった)。もともと非好酸球性副鼻腔炎ではILC1が、好酸球性副鼻腔炎ではILC2/ILC3が多く発現していると予想したが、結果は一部異なった。末梢血と鼻ポリープにおける自然リンパ球の割合が微妙に異なることから、局所での好酸球炎症が病態に重要であることが示唆されるとともに、ILC2が好酸球性副鼻腔炎の治療のキーとなることが推察された。
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