H28年度に実施した研究課題として、「治療的角膜切除術後、角膜全層・内皮移植術後の高次収差と前方・後方散乱の経時的検討」(H28年度分)と「ドライアイにおける前方散乱の動的変化と眼表面に及ぼす影響の経時的検討」(H29年度分)がある。まず「治療的角膜切除術後、角膜全層・内皮移植術後の高次収差と前方・後方散乱の経時的検討」(H28年度分)に関しては、全層角膜移植術後、従来角膜乱視・高次収差・後方散乱が視機能に寄与することが言われていたが、我々の研究では前方散乱も視機能に影響を及ぼすことが分かった(現在論文作成中)。また角膜移植術前のフックス角膜ジストロフィーの視機能に影響を及ぼす因子を多変量解析法で分析したところ、前方散乱が最も強く相関することが分かった(現在Optom Vis Sci査読中)。「ドライアイにおける前方散乱の動的変化と眼表面に及ぼす影響の経時的検討」(H29年度分)に関しては、全層角膜移植術後のドライアイに対してレバミピト点眼液とジクアホソル点眼液を用いた加療後の前方散乱や眼表面の変化を比較検討した(Kobashi et al. J Ocul Pharmacol Ther. 2017)。両点眼液での加療後前方散乱と自覚症状、涙液安定性を認めたが、両群間に有意差を認めなかった。
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