研究課題/領域番号 |
15K20401
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
若松 里佳 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (80422616)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2015年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2016年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2015年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | バイオフィルム / ストレス応答 / 殺菌剤 |
研究実績の概要 |
本研究は、高齢者や要介護者を支える家族や介助者による口腔清掃の労力の軽減をコンセプトとした新しい口腔ケア製品群を開発することを最終目的としていた。現在の口腔ケア製品は、機械的清掃効果を高めるために殺菌剤が配合されている。洗口液のように、機械的清掃効果が及ばない部位への殺菌効果を期待した製品も注目され、年々販売数が伸びている。初年度は、現在、広く用いられている殺菌に頼った化学的コントロールの弊害作用を明らかにし、殺菌ではなくバイオフィルムを付着界面から剥がれやすくする作用機序の異なる化学物質を探求した。 殺菌に頼った化学的コントロール法が起こしうる弊害として、1)付着界面へのバイオフィルム構造の残存と2)sub-MICの抗菌成分によるバイオフィルム形成促進が挙げられる。殺菌されてもなお付着界面に残存した構造は、a)バイオフィルム再形成の足場、b)抗原、c)歯石形成の源として生体に不利益を及ぼす。バイオフィルム内部への抗菌成分の浸透は制限されることが知られており、浸透遅延に続く濃度勾配の結果、深層部でsub-MICとなった抗菌成分は、口腔バイオフィルム中の細菌のストレス応答を躍起する。 これらの知見から、殺菌ではなくバイオフィルムを分散・剥離しうる製品の開発が必要であることを報告した。その候補物質として、重曹と細胞表層糖脂質に着目している。重曹は、病院、老健施設やケアハウスで口腔清掃に使われている物質で、口腔内残留物やかひが除去しやすいが、独特の苦みが難点となっている。細胞表層糖脂質は、ある種の細菌壁の成分をリード化合物として創製したもので、免疫賦活作用が報告されている。いずれの物質の生体への安全性、有効性、製剤化や使用感など、明らかにすべき課題は多いが、これからの高齢化社会の問題を解決しうる成分として大きな可能性を感じている。
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