研究成果の概要 |
本研究では,咀嚼機能の低下によって誘引された軟食傾向といった食生活の質的低下が,肝臓を刺激し,糖代謝機構の恒常性を障害するメカニズム明らかとする. 軟食摂取の長期的影響を検討するために,マウスに粉末食あるいは固形食を与えて4か月飼育すると粉末食群では平常時のインスリン濃度の低下,平常時血糖値の上昇が認められた.血糖値の動態については,両群にて有意な差はなかったが,糖負荷時に血中インスリン濃度が有意に増加した. 粉末食群で血清中カテコールアミン濃度の上昇による心臓血管機能への影響を調べたところ,両群の心拍数には差がなかったが, 粉末食群では拡張期血圧と平均動脈圧が有意に高いことが明らかとなった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Soft foodやfast foodといった食生活の崩壊と肥満や生活習慣病との関連が示され,食生活の質的劣化は深刻な問題となっている.しかしながら,食生活の質的劣化が咀嚼機能の低下に起因するものあっても歯科治療を選択するケースは少ない.それは,咀嚼機能の低下が代謝性疾患の危険因子であるとの認識が低いからと考えられる.本研究により代謝性疾患に関するNetwork Medicineの中に「咀嚼」という新たな視点を加えることで,歯科の代謝性疾患の治療マネージメントへの介入と治療基盤の構築を行えることが示唆された.
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