研究課題/領域番号 |
15K20877
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石原 雅文 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助手 (50640885)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2016年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2016年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2015年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ゲージ重力対応 / 超弦理論 / Dブレーン / シュウィンガー効果 |
研究実績の概要 |
グラフェン上の電子は、ディラックポイント周辺でバンド構造が線形になり、相対論的な粒子であるディラック粒子として振舞うことが知られている。このため、強電場の下では電子とホールの対生成であるシュウィンガー効果が起こると予想される。また、とくに真空中でのグラフェンでは、電子とホールの凝縮であるエキシトン凝縮が起こり、グラフェンのディラック電子に質量ギャップが生じることが示唆されている。 本研究では、超弦理論のゲージ重力対応に基づいて、ディラック粒子の対生成の様子、および、質量ギャップ獲得の機構を調べ、論文として発表した。ここで、ゲージ重力対応とは、場の理論、物性理論と重力理論、超弦理論との間の対応関係であり、この対応関係を用いると、物性理論の複雑な問題を超弦理論の問題に翻訳して計算をすることができる。本研究では、このゲージ重力対応をもとに、とくにU(1)電場を持つ曲がった10次元時空中のDブレーンを考え、そのon-shellの作用の虚部の計算から、外部電場の下での粒子と反粒子の対生成の生成率を求めた。そしてこの生成率の値から粒子の実効的な質量を読み取った。またエキシトン凝縮の値をゲージ重力対応をもとにDブレーンの曲率を計算することで求めた。このようにして、Dブレーンの曲率と粒子反粒子の生成率から計算した粒子の実効的な質量との関係を求めることで、粒子の質量ギャップとエキシトン凝縮の関係性を求めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた強電場中で電子とホールが対生成する現象であるシュウィンガー効果及び、電子がエキシトン凝縮により質量ギャップを持つ性質の超弦理論を用いて求めることができている。よって研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ゲージ重力対応を用いて、曲率を持ったグラフェンの性質を、その曲面を部分空間にもつDブレーンを調べることにより研究していく予定である。 また、多層のグラフェンの相転移などの性質を、曲がった10次元時空に埋め込まれた多層のDブレーンを調べることで研究していく予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会、国内学会に参加し研究成果を発表するための旅費、数式処理ソフトウェア、パソコン、記憶媒体、研究関連書籍を購入する物品費、他大学、他研究機関から議論をするため招く研究者のための謝金、旅費に使用する計画である。
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