研究課題/領域番号 |
15K21442
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
科学社会学・科学技術史
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
青木 啓将 早稲田大学, 人間科学学術院, その他 (00567000)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2015年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2017年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2016年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2015年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 感覚 / 感性 / 科学技術 / 価値・意味の生成 / 日本刀 |
研究実績の概要 |
2015年度は、第一に、明治後期以降に日本刀業界に接近した冶金学ないし、金属学的研究、日本刀の画像投影の技術開発研究に関する文献資料の収集と整理、第二に、岐阜県関市一帯と岡山県岡山市一帯において、科学技術の導入および、その導入以降の人びとの価値や意味に関する現地調査をおこなった。 第一に、明治後期から終戦に至る時期の継続的な金属学的研究の推移、および当時の著名な刀剣鑑定家らと科学研究者とのつながりが、軍刀生産との関係から明らかになりつつある。また、現地調査も踏まえ、戦前までの日本刀に関する金属学的研究が、現代の日本刀業界における、刀の実用性(ここでは「切れ味」と耐久性を指す)に関する判断にも少なからず影響し、「優れた」実用性を備えているとされる刀の特徴を大きくは二分するに至らしめていると解釈できる。すなわち、一方は中心部に芯を入れる刀であり、他方は芯を入れない刀である。この点については、現代の居合道従事者個々人の抜刀経験や言説への応答に関する調査を継続中である。 第二に、刀剣の図像投影の技術開発が実用化されつつあり、熟練鑑賞者であっても容易に目視できないような詳細な模様が記録される一方、「課題」があることを明らかにした。その「課題」とは、刀の鑑賞美に関する慣習的な「良否」を別ける大きな要素の1つとされる、模様の「立体感」や質感についての表現が不十分だという点にある。今後、この「課題」がどのように応答されるのか。刀剣鑑賞を通した感覚・感性の均一化ないし統制の観点から注目すべき動向といえる。 今年度は、主に以上の成果に基づいて、研究会および学会において二回の口頭発表をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査を計画していた中世の日本刀製作技法の解明に向けたプロジェクトについては現在進行中であるため、さらなる追跡調査が必要となったが、それ以外については計画通り進められている。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度は、①科学技術の導入以降の人びとの価値や意味生成の変容、②科学との折衝の過程についての分析を進める。また、上記の追跡調査のほか、主に居合道従事者を対象とした実用性の判断に関する調査と、図像投影技術の進展と熟練鑑賞者の関係に関する調査を継続する。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度に実施する追跡調査の旅費として使用する。
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