研究課題/領域番号 |
15K21642
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
社会学
地域研究
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
山口 真美 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター ジェンダー・社会開発研究グループ, 研究員 (60450540)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2018年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2016年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2015年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 中国 / 農民工 / 労働NGO / 在日外国人 / 定住化 / 支援団体 / 労働運動 / 社会運動 / 工会 / 日本 / 技能実習生 / 外国人労働者 / 労働者 / 労働災害 / ストライキ / 新しい労働運動 / 新しい社会運動 / NGO / 草の根NGO / 市民運動 / 社会学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中国の都市部において農村出身労働者(農民工)の権利保護と支援を行う草の根NGO(労働NGOと呼ばれる)に注目し、その機能と社会的な役割を考察することにある。しかし、中国国内の労働NGOは習近平政権下で社会的統制が強化されるとともに厳しい弾圧を受け、2015年末の大弾圧以降すべての組織が登録を抹消され、一切の活動ができなくなっている。そこで、本研究は1990年代後半から、2015年末の弾圧までの労働NGOの発生、活動の展開をまとめた論文を2021年にまとめ、それ以降は留学、研修、技能実習などの形態をとって日本で就労している中国人労働者を含む日本の外国人労働者の就労と生活をめぐる社会運動の研究を展開している。 本年度も新型コロナ感染症による移動制限のため、中国への現地調査は実施できなかった。そのため、日本における外国人の就労と生活をめぐる研究として、日本で居住、就労する中国系ニューカマーに関する研究の文献サーベイを実施した。日本に居住する中国人は、国交回復直後は研修生、技能実習生が主であったが、その後数十年を経て現在では、留学を経て日本で就職したり、企業経営、教育その他分野での高度専門職と永住権取得者が増え、日本への定着、定住化傾向が最も強い外国籍者となっている。次年度は、日本に住む外国籍者が定住化の過程でどのような社会・経済的ニーズを持ち、どのように解決しようとしているのか、残る課題は何かについて、彼らに関わる社会運動、地方自治体による外国人住民受け入れ支援などの現地調査を実施して明らかにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国における労働NGO研究は、新型コロナウイルス感染症拡大以前から、政治的な弾圧によりほとんど研究できなくなってしまった。そのため、これまでの調査を記録することに方針を切り替え、その作業は2021年の論文によってひと段落した。新たに着手した在日外国人の研究について本年度、文献サーベイを実施した。こちらの国内調査も新型コロナ感染症の影響でなかなか訪問調査がスタートできなかったが、次年度早めに実施していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度はこれまでの研究をまとめていきたい。日本への留学、就業を経て長期的に日本に居住する在日外国人は、日本の少子高齢化に伴う労働力需要を背景に確実に増加し、直近では276万人余り(2021年末)、うち中国籍者は71万6600人余り(同年末)で全体の約26%を占める最多グループとなっている。また、在日外国人の中でも中国人は日本滞在の長期化と家族帯同傾向が強い。生産年齢の外国人を如何に招致し、また安定的に日本で働き続けてもらうかは近年、日本経済にとって喫緊の課題ともなっている。 そうした社会的状況の中で、実際に日本での居住が長期化しつつある中国籍者はどのような学歴、職歴、移動歴を持ち、将来にどのような展望を持っているのだろうか。また、どのような困難を抱えているのだろうか。今年度の研究では、日本社会に定着する家族滞在の中国籍者を、支援団体、地域活動の場などに訪ね、国際移動の経歴、第2世代の就学状況と教育観、家族観などに関するインタビュー調査と支援団体や地域活動でのヒアリング調査から、移動する人々と社会運動との関わりも考察したい。
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