研究課題/領域番号 |
15KK0157
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
気象・海洋物理・陸水学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
増永 浩彦 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (00444422)
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研究協力者 |
ボニー サンドリーヌ フランス気象力学研究所(LMD), 主任研究員
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研究期間 (年度) |
2016 – 2018
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
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キーワード | 熱帯気象学 / 衛星地球観測 / 熱帯湿潤対流 / 放射対流相互作用 / 衛星観測 / 衛星リモートセンシング / 気象学・気候学 / 熱帯大気力学 |
研究成果の概要 |
地球大気の成り立ちにおいて放射と対流の相互作用が重要な役割を果たすことは知られているが、個々の対流雲システムの発達過程に根差したメカニズム解明には至っていない。本研究では、衛星データ解析をもとに熱帯対流のライフサイクルに伴う放射対流相互作用の実態に迫る。解析の結果、湿潤な大気環境下では深い対流の活発化に1-2日も先行して巻雲の雲量が増大し始め、大幅な長波(熱赤外)放射の抑制をもたらしていた。この結果を熱力学収支に基づく簡単な概念モデルを検討したところ、先行発生する巻雲による放射効果が対流圏下層の上昇流と協働することで、観測された通り2日程度の時間スケールで対流活発化が促されることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
熱帯は世界有数の多雨地域であるが、熱帯降水雲の発生発達メカニズムには未解明の点も多い。本研究は、熱帯における雨雲強化メカニズムのひとつとして、巻雲がもたらす温室効果が大気下層の湿潤化を促し激しい降水に至る可能性を衛星データ解析と簡単な理論的考察から示した。雲の温室効果と雲対流の相互作用は以前から研究されていたが、上記のプロセスが1-2日程度の短い時間で進行することを指摘した研究は他に類を見ず、新規性の高い発見である。地球温暖化予測などに使われる気候モデルでこのような短時間の放射・対流相互作用が再現されるのか、ひいては将来気候予測の信頼性にどの程度影響がを及ぼすのか、今後の解明が待たれる。
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