研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
ペリシナプスグリアは、シナプスからの情報受容能およびシナプスへの情報発信能の両方を有することから、シナプスにおける情報処理と密接に関連すると想定されている。このペリシナプスグリアの活動を詳細に計測し、その意義を明らかにするために、新規Ca2+感受性蛍光タンパク質であるLck-GCaMP6fをアストロサイトに発現する遺伝子改変動物を用いた解析を行った。背外側線条体アストロサイトに着目して行った実験から、Lck-GCaMP6fはペリシナプスグリアの活動を鋭敏に検出すること、また、アセチルコリン及びドパミンという複数の神経伝達物質を介した新しいペリシナプスグリア活動制御機構が明らかとなった。
ペリシナプスグリアの活動を鋭敏に測定することにより、シナプス活動とペリシナプスグリア活動の新たな情報処理メカニズムを明らかにした点に本研究成果の学術的意義がある。シナプスにおける異常及びグリア細胞機能の変調は様々な中枢神経疾患の原因と考えられている。本方法を用いた解析により、シナプス活動とペリシナプス活動の関係性、シナプスとペリシナプス活動間の情報伝達処理機構、病態メカニズムにおけるペリシナプス活動の意義を明らかにすることにより、中枢神経疾患の新たな治療標的の発見及び治療方法の開発に繋がる知見が得られると期待される。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
実験医学増刊
巻: 37 ページ: 182-188
Neuron
巻: 95 号: 3 ページ: 531-549
10.1016/j.neuron.2017.06.029