研究課題
特定領域研究
ショウジョウバエのゲノムには、3量体Gタンパク質をコードする遺伝子は16個予測されている。味覚器における発現をRT-PCRを用いて調べたところ、α、β、γサブユニットで各1個が主に発現していた。そこで、Gγ1の味覚受容への関与を調べた。GAL4がGγ1遺伝子のpromoter下流に挿入した系統(NP1535)を利用した。UAS-GFPを用いてGγ1遺伝子の発現部位を調べたところ、唇弁およびフ節の味細胞で発現が観察された。味覚感覚子基部には通常4個の味細胞がある。Gγ1は3つの味細胞では発現が非常に弱く、1つの味細胞で強く発現していた。4個の味細胞は、それぞれ糖、塩(高濃度と低濃度)、水に対して応答する。Gγ1遺伝子が発現している味細胞を同定するために、味細胞の機能阻害実験をおこなった。UAS-TNTをNP1535と交配し吻伸展反射調べたところ、糖に対する応答が低下していた。温度依存的に神経伝達を阻害するUAS-shibire^<ts1>を用いて調べると、制限温度(30℃)で糖に対する吻伸展応答が低下していた。さらに、Gγ1遺伝子に対する2本鎖RNAを発現するUAS-RNAi系統を用いて、Gγ1遺伝子をノックアウトしたときの味覚神経応答を電気生理学的に解析したところ、糖に対する応答が低下していた。Gγ1遺伝子のnull突然変異体を用いて糖受容細胞の神経応答を調べた。Gγ1遺伝子のnull突然変異型はホモ致死であるので、FLP/FRTシステムを用いて任意のタイミングで体細胞組換えを起こし、Gγ1遺伝子のnull突然変異ホモ接合体の細胞を生じさせた。その味細胞の糖に対する神経応答は完全には消失していなかった。Gγ1遺伝子は糖受容細胞で発現しており、糖受容シグナルトランスダクションに関与していると考えられる。同時にGタンパク質に依存しない受容機構があることが示された。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
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