研究概要 |
1.シロイヌナズナのトランスポゾン挿入変異体の育成と発芽率の測定 植物変異開発研究チームがこれまでに作製していたトランスポゾン挿入変異株の中で、遺伝子への挿入が予測されるラインを選別し、1,478ライン(合計4,768ライン)について種子50粒ずつをプレート培地に播種し、発芽率・初期育成率を測定した。これまでの結果を合計すると発芽率については、4,215ライン(88%)が80%以上の発芽率を示したのに対し、212ライン(4.4%)については発芽率70%未満であり、発芽に影響のある遺伝子変異体の候補と考えられた。育成率については110ライン(2.3%)が50%未満の育成率を示し、これらの変異体は致死表現型の候補と考えられた。 2.シロイヌナズナの形態観察による表現型データの記録 プレートで約3週間育成の後、各ライン8個体ずつを土に植え換え植物体を育て、形態に異常の観察されるラインについてデジタル画像によって記録を取った。これまでに行った植物体地上部の観察で比較的はっきりした表現型を示したのは265ライン(5.5%)だった。その中には、植物体の矮性・アルビノ形質・植物体の色が薄い・遅咲き・葉の形態異常・茎の形態異常・花の形態異常・さやの形態異常など様々な表現型が含まれていた。 3.シロイヌナズナの遺伝子破壊系統の選別と各種スクリーニング 上記表現型解析の過程で、647ライン(合計1,965ライン)はトランスポゾンがホモに挿入されており、遺伝子破壊株系統になっていると予測された。それらの植物個体から種子回収を行い、地上部観察では見ることのできなかった根・根毛・胚軸・トライコームの定量的表現型スクリーニングと、環境ストレス条件下での耐性変異体のスクリーニングを始めた。
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