研究概要 |
変異解析において、PAX9遺伝子内のエクソン3にミスセンス変異(nucleotide : A640G, amino acid : S214G)、MSX1遺伝子内のエクソン2にミスセンス変異(nucleotide : G778T, amino acid : A260S)を認めた。PAX9の変異は罹患同胞の2人と、母親に存在した。母親は唇裂・口蓋裂をもっていないが、474名のコントロールには見られず、原因変異であると考えられる。他の遺伝子には、患者特異的な変異は見いだせず、非症候性唇裂・口蓋裂は、マウスの解析から考えられる候補遺伝子の単一遺伝子病としてはほとんど説明できない。 患者-対照試験による解析をTGF-β3,DLX3,PAX9,CLPTM1,TBX10,PVRL1,TBX22,IRF6について終了した。TGF-β3遺伝子内のSNP(IVS1+2118A>G)においてp<0.004を示した。患者集団においてアリルAの頻度が高く、感受性を高めているのであろうと思われる。現在TGF-β3遺伝子のSNP(IVS1+2118A>G)に関しては、このSNPを中心としたハプロタイプを構築し、コントロール集団の数を増やすとともにTDTにおいて検証中である。 IRF6遺伝子についてはSNP(820G>A,V274I)を用いてTDTを行ったが、日本人においては、全く差がなかった。フィリピン、アイオワの集団などでは陽性の結果が出ており、日本人と他の集団との違いがあらためて確認された。
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