研究概要 |
公的データベースを用いて血管壁因子(高血圧・動脈硬化・血管攣縮・動脈瘤など)、血液因子(凝固線溶系、血小板機能など)、代謝因子(糖尿病・高脂血症・高ホモシステイン血症など)、神経因子(循環・血圧調節、内分泌機能など)を中心として包括的・総合的に脳血栓または脳出血発症との関連が推定される200候補遺伝子を抜粋し、それらの遺伝子に存在する多型群の中で遺伝子発現またはタンパク質の構造・機能変化が推定される300多型を選択した。また研究参加施設である岐阜県立3病院(県立岐阜病院、県立多治見病院、県立下呂温泉病院)および弘前大学病院とその関連病院(黎明郷リハビリテーション病院)でDNAサンプルおよび詳細な臨床情報を収集し、平成16年度に収集したサンプルと既に収集したものを合わせ、3,300例(脳梗塞800例、脳出血500例、対照2,000例)のサンプルを収集した。本研究は、三重大学医学部、財団法人岐阜県国際バイオ研究所、県立岐阜病院、県立多治見病院、県立下呂温泉病院、弘前大学医学部の倫理委員会の承認を得ており、対象者からは書面でインフォームドコンセントを得た後に採血を行った。さらに3,300サンプルについては140多型(合計462,000多型)の解析を完了し、データベース化した。多型情報と臨床情報による関連解析を行い、脳梗塞および脳出血発症と関連する多型をそれぞれ数個確定し、現在さらに詳細な解析を行っている。今後は、脳梗塞および脳出血発症に関してさらに多くの候補遺伝子多型群を解析し、発症と強い関連を示す多型群を同定すると共に、選択された多型群の組み合わせによる遺伝子リスク診断システムを開発する予定である。
|