研究概要 |
滋賀県S町住民を対象とし行った塩分感受性遺伝子多型といわれるangiotensinogen M235T多型(AGTM235T)および・-adducin G460W多型(ADDG460W)と高血圧の関連に関するこれまでの検討では有意な結果が得られなかった。愛媛大学との共同研究で対象数を35歳以上の男女合計4,729名に増やして再検討した。年齢、body mass index (BMI)、飲酒、地域因子を調整してLogistic多変量解析にて高血圧(収縮期血圧≧140mmHg、拡張期血圧≧90mmHg、降圧薬服用のいずれか)に対する遺伝子多型の寄与を検討したところ、男女ともAGTM235T、ADDG460W多型が高血圧に関与することを認めた。すなわちAGTM235TのMMを1としたときのMT, TT型のオッズ比は男性でそれぞれ1.75(95%信頼区間:1.23-2.49),1.76(1.28-2.43);女性で2.24(1.65-3.04),2.77(2.10-3.66)であり、ADDのGGを1としたときのGW, WWのオッズ比は男性でそれぞれ1.19(0.93-1.53),1.38(1.07-1.80);女性で1.69(1.37-2.10),1.82(1.45-2.29)であった。 これまでの塩分感受性遺伝子多型と高血圧に関する先行研究が整合性のある結果提出出来なかったのは、対症例数不足;降圧薬服用者を除外することによる影響;重要な交絡因子による調整を行わなかったことなどに起因すると想定出来る。環境因子と同様に遺伝因子が高血圧に関与する例を提示することが出来た。
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