研究概要 |
1)Pyrococcus horikoshii推定Lys生合成クラスター遺伝子のThermus thermophilusを用いた遺伝学的解析 T.thermophilusのLys、Leu、Arg生合成に関与する遺伝子を、耐熱性HPH遺伝子を用いて個別に破壊した。この株に対して、該当するP.horikoshiiの推定Lys生合成クラスター遺伝子を、pTT8をベースとした発現プラスミドに組み込んで導入し、該当するアミノ酸要求性の相補が認められるかどうかを検討した。その結果、PH1726/PH1724の導入により該当するlysTU変異を相補することが明らかになった。このことは従来の結果を裏付けるものであるが、PH1726/PH1724はleuCD変異の相補はせず、P.horikoshii遺伝子がbi-functionalな活性を有しているかどうかについてまでは明らかにすることができなかった。さらに、その他の遺伝子(PH1727,PH1722,PH1720,PH1718)については、LysおよびLeu/Arg要求性のいずれも相補しなかった。相補が認められたPH1726/PH1724の場合でも、細胞抽出液中に同タンパク質はほとんど検出されないレベルであったので、T.thermophilus内でのP.horikoshiiタンパク質の発現量が充分ではない可能性も考えられる。 2)P.horikoshii遺伝子の大腸菌を用いた生化学的解析 P.horikoshiiの該当遺伝子(PH1727,PH1726/PH1724,PH1722)を個別に、pET systemなどを用いて大腸菌で発現・大量生産し、酵素活性レベルで解析することを試みた。ほとんどの場合、目的タンパク質は不溶性画分に局在化しており、また酵素活性も検出されなかった。今後大腸菌を宿主とした発現系についても、さらに検討を加える必要がある。
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