研究概要 |
本研究では、放射線抵抗性細菌であるDeinococcus radioduransをモデル生物として、機能未知遺伝子がコードするタンパク質の中から新規のDNA修復関連タンパク質を予測し実証実験によって予測を確かめることを試みた。D. zadioduransの全ゲノム配列を取得し、Open Reading Frame (ORF) をアサインした。ORF間スペーサー領域の塩基数を測定して、既知のオペロンにおけるスペーサー領域の塩基数をもとに、新規オペロンの推定をおこなうことができた。推定オペロンと開発継続中のDNA修復関連タンパク質のデータベースを組み合わせることで、D. radioduransのゲノムからDNA修復関連タンパク質とともにオペロンを形成する機能未知遺伝子を見いだした。これら遺伝子はDNA修復関連タンパク質と同時に転写される可能性がある。これら遺伝子のうち、約60%が新規のDNA修復関連タンパク質であろうことを理論的にみつもることができた。新規DNA修復関連タンパク質と推定された遺伝子の中から数個を選び、日本原子力研究所高崎研究所において実証実験をおこなった。その結果、これらの機能未知タンパク質をコードする遺伝子のうち、2っはDNA修復関連タンパク質をコードしていることが実証できた。ひとつはDNA架橋剤による損傷修復に関与する亜鉛フィンガーをもつD. zadioduTansとその近縁種にのみみられる遺伝子であり (Kiuchi et al., J. Bacteriol. 投稿中)、もう一つはγ線損傷の修復に関連するアセチル転移酵素と推定された (Yura, Narumi, et al., Mol. Microbio1. 投稿準備中)。
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