研究課題/領域番号 |
16015204
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 真樹 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90301887)
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研究期間 (年度) |
2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
2004年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | 運動性視床 / 眼球運動 / 神経活動 / 機能脱落 / 運動発現 / 霊長類 / 神経生理学 |
研究概要 |
運動性視床は皮質下の運動情報を大脳皮質につたえる上行性経路として重要であり、その信号は自身の行動をモニターすることに利用され、また、体性運動系においては随意運動の発現にも関与することが知られている。これまで、眼球運動系の研究では大脳皮質から直接、あるいは大脳基底核を経由して間接的に脳幹・小脳にいたる下行性の経路がよく調べられてきた。しかし、解剖学的には運動性視床の多くのニューロンが眼球運動関連領野に投射することが知られており、また、髄板内核群周辺からは眼球運動に関連したニューロンが記録される。本課題ではこれらの神経活動を解析するとともに、記録部位に微量のムシモールを注入し、眼球運動系における上行性信号の役割を調べた。 2種類の眼球運動について検討した。(1)滑動性眼球運動の最中に活動を変化させるニューロンの約8割には方向選択性があり、多くは同側に至適方向をもっていた。運動性視床を不活化すると滑動性眼球運動のゲインがわずかながら低下し、その効果は同側にむかう運動で大きかった。多くの場合、障害は運動の開始後数十ミリ秒であらわれ、このことは運動性視床が同眼球運動系の内在性の正の帰還経路の一部であることを示唆する。(2)視床の障害によって反対側にむかう記憶誘導性サッカードの潜時が延長した。とくに、固視点を消すことによって運動を開始させる従来のexternally triggered課題よりも、手がかり刺激が提示された後、一定時間の後に自発的に記憶誘導性サッカードをおこなわせるinternally triggered課題で障害効果が大きかった。このことは上行性信号が自発性眼球運動の発現、特にその時間的調節に関与する可能性を示唆する。この障害効果を裏付ける神経活動として、遅延期間中にみられたbuildup activityが有力であると考えられる。
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