研究課題/領域番号 |
16015235
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
田中 光一 東京医科歯科大学, 大学院・疾患生命科学研究部, 教授 (80171750)
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研究期間 (年度) |
2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2004年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | 神経科学 / 脳神経 / 発生・分化 / グルタミン酸 / 欠損マウス |
研究概要 |
グルタミン酸は、ほ乳類の中枢神経系において記憶・学習などの脳高次機能に重要な役割を果たす神経伝達物質としての作用だけでなく、神経系の発生・分化にも関与するシグナル分子としての作用を持っていると考えられている。しかし、その詳細は不明な点が多い。我々は、細胞外グルタミン酸濃度調節にとって重要な役割を果たす2種類のグリア型グルタミン酸トランスポーター欠損マウス(GLT1,GLAST)を作成した。GLT1欠損マウス、GLAST欠損マウスには、脳の形態異常は観察されなかった。しかし、これら2つの欠損マウスを掛け合わせダリア型グルタミン酸トランスポーターを全く持たない(DKマウス)を作成したところ、DKマウスは胎生17日頃に死亡し、その中枢神経系には嗅球の僧帽細胞の消失・海馬錐体細胞の層形成不全・大脳皮質の層形成不全・小脳の小葉形成不全など様々な形態異常が観察された。今年度は、DKマウス大脳皮質の層形成不全の機序を解析した。DKマウスの大脳皮質の異常は、胎生12日(E12)に生まれた神経細胞の移動障害、E15以降の神経幹細胞の分裂障害、subplate neuronの消失による大脳皮質-視床間結合の消失、交連線維の交差異常によることが明らかになった。また、これらの異常は、グルタミン酸受容体のアンタゴニストを投与することにより回復した。従ってDKマウスでは、細胞外グルタミン酸濃度の上昇により、グルタミン酸受容体が過剰に活性化され、脳形成に異常が起きることが明らかになった。本研究は、過剰な細胞外グルタミン酸は、脳形成の全ての過程を制御し、脳形成に重要な役割を果たすことをin vivoで最初に示したものである。グルタミン酸トランスポーターは、細胞外グルタミン酸濃度を制御することにより、神経幹細胞の分裂、神経細胞の移動、神経細胞の分化(軸作の伸長)を制御し、大脳皮質の形成にとって重要な役割を果たしている。
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