研究概要 |
アルツハイマー病におけるアミロイド線維の主要な構成成分であるamyloid β - peptide (Aβ)は、40残基程度のペプチドである。本研究では、Aβ結合蛋白質であるtransthyretin, gelsolin,抗β抗体とAβの相互作用について研究した。 1.原子間力顕微鏡(AFM)によるtransthyretinとAβの相互作用解析 Aβ1-42のアミロイド線維は、幅約15nm、長さ約数十〜数百nmの直線状の線維として観測された。Aβ1-40のアミロイド線維は、Aβ1-42の線維と類似していたが、形成したアミロイド線維の量は少なかった。Transthyretinが存在するときには、Aβ1-40,Aβ1-42ともにアミロイド線維が形成されなかった。 2.ゲルろ過クロマトグラフィーによるtransthyretinとAβの相互作用解析 Aβ1-40溶液にtransthyretinを加えると、Aβオリゴマーのピークは影響を受けなかったが、モノマーのピーク強度が減少した。これらの結果から、transthyretinはAβのモノマーに結合しアミロイド線維へ凝集することを阻害していると考えられる。 3.Gelsolinフラグメントの大量発現系の構築とAβとの相互作用解析 Gelsolinの178-293残基(gelsolin178-293)がAβに結合しているのではないかと予想し、gelsolin178-293フラグメントの大量発現系の構築に取り組んだ。gelsolin178-293とAβの結合をBIACOREによって調べたところ、解離定数が6.8×10^<-6> (M)の弱い結合であることが分かった。
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