研究概要 |
アルツハイマー病に特異的な脳アミロイド沈着除去をリアルタイムでモニターリングする方法を確立するため、Aβ40,42断端を特異的に認識する抗体でまず脳内移行を検証した。Aβ40,42断端を認識する抗体を^<125>I標識し、腹腔内、経静脈、経動脈的投与し、30分、4時間、24時間後脳集積を検討すると、経静脈・経動脈投与のいずれも脳/血流比は0.02であり、脳血流量を考慮した場合脳実質への寄与が50%と推測されたため、約1%が脳内移行すると考えられた。このため、抗体の末梢投与での治療と脳アミロイド画像化の同時モニターリングは困難で抗体の脳内誘導法開発が不可欠と考えられた。一方、Aβ42断端を認識する抗体をAPP過剰発現マウス(トランスジェニックマウス)脳室内に投与すると、免疫組織学的に脳内アミロイド沈着量の低下が観察され、それに伴い血液中への脳内Aβの選択的排泄も確認された。従って、抗体を脳内に高効率で誘導するシステムの構築が、リアルタイムでの脳内での脳アミロイド沈着制御モニターリングにとり肝要であると考えられ、現在各種方法を検証中である。一方、新たにアルツハイマー病発症に直接リンクした真の病態惹起Aβoligomerを特異的に認識するモノクローナル抗体(IgG)を作製し、より病態特異的な脳アミロイド沈着制御モニターリングシステム構築を目指している。
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