研究概要 |
相模原市在住の家族性パーキンソニズム家系(以下相模原家系)は常染色体優性遺伝形式をとり,その発症年齢や臨床経過等は通常の孤発性パーキンソン病とほぼ同一である.これまでに我々は,Microsatelliteをもちいたゲノムワイド連鎖解析から,相模原家系の原因遺伝子座が12p11.2-q13.1の約13cMの範囲に存在することを報告し,家族性パーキンソニズムの新規原因遺伝子座・PARK8として登録した.その後,新しい家系の解析により候補領域を約10cMまで狭めた.PARK8の遺伝子本体を同定すべく,この領域にマップされている125遺伝子(1,064exons)についてPCR-direct sequencingを行い,その約90%の作業を終えた.この段階で,海外の研究グループから,PARK8に連鎖する原因遺伝子を同定したとの報告がなされた.この遺伝子について相模原家系を検証した結果,報告されている場所とは異なるエクソンに家系内発症パターンと一致する変異が見つかり,健常人と孤発性パーキンソン病患者DNAを用いて,正常ポリモルフィズムであるか否かの検証を行った.その結果健常人,PARK8オリジナル家系の遺伝子変異はLRRK2/DRDN遺伝子のI2020T変異であることを示した.また,PARK8オリジナル家系内で線条体黒質変性症と診断した1例についても,I2020T変異が同定された.相模原家系も米国の報告された家系と同様,同一家系内にあり,同一の遺伝子変異であっても,神経病理学的には様々であり,PARK8は同一遺伝子変異であっても神経病理学的には多彩であることが示された.
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