研究課題
特定領域研究
(1)アンキリンGによるNav1.6チャネル機能の修飾機構を解析するため、tsA201細胞への強制発現系を用いてTTXサブトラクション法による持続性電流の定量をおこなった。アンキリンGは、これまでの結果と同様に、有為に持続性電流量の抑制を引き起こした。一方で、他のアンキリンアイソフォームであるアンキリンBは、抑制効果を示さなかった。現在、両者のタンパクの直接結合と持続性電流量減少効果との関係を明らかにするため、抗体を用いた免疫沈降実験を試みている。(2)神経分化過程において電気的活動を担う分子機構として、電位依存性チャネル以外の因子が存在するのではないかと注目し、脊椎動物の起源となるホヤのゲノム中から、網羅的にイオンチャネル関連分子の検索をおこなったところ、イオンチャネルと同様の電位センサーを有しながら、細胞内ドメインに酵素構造をもつ新規膜タンパクを同定した。発現系実験を用いた解析から、この分子はイノシトールリン脂質の分解能を有すると同時に、チャネル様の電位センサー機構をもつことを発見した。さらに、膜電位変化により酵素活性が変化することを見出した。この分子は、ホヤの神経節に発現が確認されており、また、文献的に発生過程の脳に同一の分子が発言することが知られている。今回の発見は、チャネル分子以外に膜電位情報を細胞内に伝達する機構を見出した点で重要である。従来、イオンの流入を介さない膜電位依存的な神経機構が知られてきたが、本分子の発見により、これらの分子機能の解明に迫れる可能性がある。今後、イオンを介さない電位センサー分子が発生過程で果たす役割をさらに会席する予定である。
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