研究概要 |
本研究では,新しいソフトウェアの応用領域として実世界において認識行動処理を行うヒューマノイドを対象とし,実世界知識表現の上位の記述から,認識行動の並列性記述,リアルタイム性の必要な反射系を,並列性,実時間性,対話性,三次元モデリング機能を特徴とするLisp言語を用いることで,実世界の動的な振る舞いや多様な状況に対応可能な大規模かつ複雑なヒューマノイドソフトウェアを効率よく開発するためのプログラミング環境を構築することを目指し,以下のことを行った. (1)行動制御プログラミング環境から利用可能な実時間三次元視覚システムの構築 関節の制御プログラムだけではなく,高速の視覚処理機能を搭載した場合に対するLispシステムとの統合環境の構築を行った.三次元視覚処理としては,再帰的に局所相関演算処理を行うことで高速処理が可能となる両眼立体視覚処理を実現した.関節制御に比べれば処理時間が長く,検出対象の種類によって処理時間が異なるものが発生する視覚処理を上位の行動判断系から利用可能な統合システムを実現し,実時間GC機能をもつマルチスレッドLispにおいて,関節制御レベルの処理と視覚情報処理を並存させた行動実験が可能なシステムの実現を行った. (2)ヒューマノイド行動の総合実験 これまでに開発してきたヒューマノイド行動用のプログラムを実時間性を考慮したプログラムとして再構成し,視覚を用いながら実時間性能の必要となる全身行動を行うヒューマノイド実験を行いシステムの評価と研究総括を行った.総合実験としては,物体が身体に近づいてくる際の身構え動作,二足歩行動作をとりあげ,実時間GC処理が転倒を起こさない歩行行動に有効であることを確認した.
|