研究概要 |
本研究では,日常生活行動を念頭に置いた動作認識において,同時認識性,曖昧性,経験的知識にもとづいた動作に対する条件記述の利用という特長に加え,柔軟な認識能力を獲得可能な認識・学習法の構築を行った.構築したシステムでは,入力には人間の運動情報としてモーションキャプチャデータを用い,同時認識性の実現として対象動作それぞれに対応する動作要素認識器が独立した処理を行う.動作要素認識器では曖昧性を実現し,動作の記述に依存しない統一的な認識・学習のため,カーネル識別器を使用し,予め用意した運動情報と人による正解ラベルからSVMを規範とした学習を行うものとした.本研究で構築した認識システムにおける認識精度を問う実験では誤差逆伝播法,決定木の学習により得られた認識器よりも頑強性があることが確認され,追加学習性によりシステムの柔軟性が示されている.注目運動特徴の自動発見,スイッチングダイナミクスモデルを援用した動的な動作での認識を確認し,本研究の提案する動作認識手法の展開も明確化されている. また,日常生活行動について人と同様の動作認識を行うアルゴリズムと,それに基づきモデル化した人の認識過程につき,床センサや家具センサなどから人間の位置や行動情報を別の側面から取得できる仮想住居環境にて生活実験を行い,本研究で得られる知見の適用可能性を評価した.システムの認識アルゴリズムによる動作認識結果は,評価者にとって分かりやすい形で提示することが必要であるため,三次元表示可能なように変換した上で提示できるような評価システムを構成し,基本的な日常動作についての適用性を確認した.
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