研究概要 |
平成17年度は,人間の行う舞踊動作をヒューマノイドロボットに模倣させる技術の開発を行った.人間の動き(例えば関節角度など)をそのままロボットに適用しようとしても,関節構造や重量バランスなどが人間と異なるため,ロボットを正しく動作させることはできない.そこで本研究では,動作プリミティブ,スキルパラメタ,キーポーズなどの概念を導入して人間の動作を認識した後,ロボットの動作を再構成する枠組を提案した. 本手法では,舞踊動作を上半身と脚の動作に分けて取り扱う.これは上半身(特に手先)の動作は舞踊における表現を主に担っているのに対し,脚の動作は上半身の安定や移動などの役割を主に担っており,両者の性格が異なるという観察に基づくものである. 上半身の動作は,「とめ動作」に注目したセグメンテーションに基づきロボット上に再現される.すなわち,従来手法などに見られるように全体的に似たような動作を生成するのではなく,「とめ動作」のような重要なポーズを優先的に似せるようにすることによって,最終的に生成される動作をより「踊りらしい」ものにすることが可能になる. 脚動作に関しては,全身のバランスを保持しなければならないために厳しい力学的条件を満す必要があることなどの理由から,直接人間の動作に基づいて動作生成することが現実的ではない.そこで動作を「動作プリミティブ」と「スキルパラメタ」の組み合わせで表現するというモデルを提案し,それに基づき動作を再現した. 実際に本研究では,人間と同じサイズのヒューマノイドロボットHRP-2を用いて会津磐梯山踊りを再現する実験を行った.その結果,実際の舞踊音楽に合わせて人間と同じ速度でロボットに踊らせることに成功した.
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