研究概要 |
平成17年度の研究計画は,次世代の高性能計算環境としてGPUに着目し,GPUを装備した計算機を高速ネットワークで相互接続したPCクラスタを用い,計算量の多い医用画像処理の高速化を実現することである.具体的には,GPUがこれまでに高速化対象としてきた描画処理(レンダリング)を始め,これまで対象としていなかった非描画処理を新しい用途として開拓していき,GPUによる非描画処理のためのプログラミング手法を確立することを試みた.これらを実現するため,GPUを用いた高性能計算に関する研究,および医用画像処理の高性能計算に関する研究に取り組んだ. 前者の研究項目では,主に非描画処理に関してGPU上で効率のよい実装を開発するための支援として,GPUプログラムの性能を改善するための命令移動手法およびその手法を自動的に適用するためのツールを開発した.また,非描画処理をGPU上で実現するとき,どのような実装方針がよい性能を引き出せるのかということを明らかにするために,計算量が多く高性計算機の性能指標としてよく用いられているLU分解を題材として,いくつかの方針のもとに実装を開発し,それらの性能比較および方針の確立を試みた. 一方,後者の研究項目では,前者の研究項目で得られた知見を生かし,計算量の多い医用画像処理として,大規模(3次元および時系列3次元)データセットを可視化するための効率のよいボリュームレンダリング,外科手術を術中支援するための2次元/3次元剛体位置合わせの高速化,および関節可動域シミュレーションの高速化に取り組んだ.ボリュームレンダリングと位置合わせに関しては,PCクラスタおよびGPUによる2通りの実装を開発した.これらを高速化の観点から比較し,GPUの有効性を示した.
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