研究課題/領域番号 |
16017232
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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研究分担者 |
土屋 輝一郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40376786)
八木田 秀雄 順天堂大学, 医学部, 教授 (30182306)
中村 哲也 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70265809)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
12,800千円 (直接経費: 12,800千円)
2005年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2004年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 再生医療 / transdifferentiation / 杯細胞分化 / Interferon Regulatory Factor (IRF) / IL-7 / Notchシグナル / Wntシグナル |
研究概要 |
本研究は、申請者らが独自に見いだした腸管粘膜免疫調節機構ならびに腸上皮細胞の分化・再生機構の特殊性の理解に基づいて、慢性大腸炎に対する新規治療法の開発を目指すものである。本年度も、当初の研究計画に基づく一定の成果が下記のごとく挙げられた。我々は骨髄細胞が腸管上皮へ分化しうること、またこの機構は傷害後の腸管上皮再生をレスキューすることを世界に先駆けて報告し、大きな注目を集めることとなった。本年度はこれをさらに発展させ、骨髄細胞は腸管の未熟な細胞から分化形質を獲得したものまで幅広く転換していることを発見し、さらに腸管再生時には腸管上皮の細胞系列のうち、特に分泌型細胞(杯細胞、神経内分泌細胞など)への分化傾向を有することを報告した。これら成績は、慢性炎症による障害後上皮再生に特異的分化卸御が機能することを示唆し、今後の上皮再生医療、中でも分化系列特異的再生誘導療法につながるものと期待される。実際我々は既にNotchシグナルによる腸上皮分泌型細胞分化に関しいくつかの新知見を得、さらなる解析を継続中である。またヒト腸管上皮細胞の解析により、IL-7産生においてIRF-1/IRF-2の両者が各々独立したIL-7誘導因子であることを明らかにし、ヒトにおけるIL-7分泌の調節機構を初めて報告し、腸管上皮細胞におけるIRF蛋白機能の重要性が示された。本年度はさらに腸管上皮細胞のIRF蛋白機能に着目し、IRF-1蛋白の標的遺伝子を網羅的に検索し、そのほとんどが免疫プロテアソーム構成分子であるという興味深い結果が初めて示された。実際にIRF1欠損マウスの腸管では刺激依存性のIL-7産生、免疫プロテアソーム構成分子の増加を認めなかった。これは腸管上皮細胞分化によりIRFを介したIL-7産生と同時に免疫プロテアソーム構成による抗原提示能を同時に獲得する可能性を示しており、腸管免疫機構の中心的役割を担うことが示唆された。現在さらに、腸管上皮細胞分化段階におけるIRF蛋白機能を解析するなど腸管上皮細胞分化とこれによる免疫機能の相関についての解析を継続中である。
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